是枝裕和からのメッセージ
  孫三郎
2006年4月3日

昨日高崎映画祭に参加してきました。映画祭が今年20周年!ということで、特別に呼んでいただき、『ワンダフルライフ』 の上映をしてきました。
夜のパーティーにも参加をして、映画祭のスタッフや一般の映画ファンの方々ともお話したのですが、その中に「実は今は妊娠中で…」と話されていた方がいて。「そうですか、何ヶ月なんですか?」「6ヶ月です。」良く見ると、確かにもうお腹もふっくらしてる。決してパーティーで食べ過ぎたわけじゃない。「それはおめでとうございますー」なんて話してたら「監督は何か好きな名前とかありますか?」と。(うん!?これはもしかすると名付け親になってと遠回しに言われてるのか!)と、ちょっとドギマギしてしまい、昔好きだった女のコの名前などいくつか挙げた末にふと思いついて「孫三郎っていうのが今お気に入りなんですけどね。もし犬を飼ったら絶対「孫三郎」ってつけようと思ってるんです」と話してしまいました。いや、もちろん、冗談ですよ。冗談なんですが、「孫三郎…ですか…。初産なんで孫三郎はちょっと…」と困惑されてしまいまして…。ごめんなさい。困らせるつもりはなかったのです。この場を借りて、おわびします。

でも、今、本当にお気に入りなんですよ「孫三郎」。この名前、「花よりもなほ」の中で、木村祐一さんが演じた役の名前なんですね。長屋の空き部屋にただで住みつき、飯はいろんな家でお世話になり、古田さん演じる貞四郎や、乙吉(上島竜平さん)、留吉(千原靖史さん)ら長屋の住人達と行動を共にするのですが、ちょっとズレてる。ちょっとおかしい。ちょっと足りない。でもって、これは木村さんの演技力によるところ大なんですが、(実はただの馬鹿ではない)感じがみごとに出てるんです。(必見)自分で言っちゃいますが。
でもって、こどもたちからは親しみを込めて「孫ちゃん」と呼ばれてる。又、かわいいんだ、この呼び声が。ちょっとゴツめな木村さんの顔と、この孫ちゃんという呼び名がミスマッチでステキなんです。

ま、無理に付けていただかなくてもかまいません。いや、逆に、万が一、つけていただいちゃったりしても責任がとれないので…やっぱり犬とか…ぬいぐるみくらいでやめといていただいた方がいいかと思いますが。しかし出産が4ヶ月先なら、映画を観てからでも決定は間に合うんで、どうしてもということであれば。どうぞ。

是枝裕和


 

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