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カンヌ映画祭 五日目

2015年5月17日

5月17日。カンヌ5日目の朝です。
昨日は昼間、映画祭のディレクターズランチというのに呼んでいただき、到着したばかりの黒沢清監督とお会いしました。すぐ隣には、審査員達がテーブルを囲んで食事をしているのですが、ここはあまり会話を交わさないのが暗黙の了解になっているようです。
昨日1日でほぼ海外メディアの取材は終わりました。姉妹間での目に見える衝突を控えたのはどのような意図か?登場しない人間を、観た人たちに感じさせるためにどのようなテクニックを使ったか?といった、興味深い質問が数多くあり、充実した、だからこそ疲れる三日間でした。
キャストも綾瀬さんを除いてみな帰途につき、参加していたスタッフも大半は今朝旅立ちました。
僕は、明日のカンヌクラシックという部門で上映される溝口健二監督の『残菊物語』のプレゼンターを務めるために、今朝から猛勉強中です。
小津の名前が引き合いに出されることはしばしばありますが、溝口の名前は滅多に出ません。同じ日本人であること以外に僕がプレゼンターに選ばれた理由はないような気がしますが、実をいえば、小津よりもはるかに多くのことを学びたいという、欲求だけは持っているわけです。そんなわけで、頑張ります。

是枝裕和