1962年6月6日、東京生まれ。87年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリー番組を演出、14年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。
主なテレビ作品に、水俣病担当者だった環境庁の高級官僚の自殺を追った「しかし…」(91年/CX/ギャラクシー賞優秀作品賞)、一頭の仔牛とこども達の3年間の成長をみつめた「もう一つの教育~伊那小学校春組の記録~」(91年/CX/ATP賞優秀賞)などがある。
95年、初監督した『幻の光』が、第52回ヴェネツィア国際映画祭で金のオゼッラ賞を受賞。2作目の『ワンダフルライフ』(98)は、各国で高い評価を受け、世界30ヶ国、全米200館での公開と、日本のインディペンデント映画としては異例のヒットとなった。04年、監督4作目の『誰も知らない』がカンヌ国際映画祭にて映画祭史上最年少の最優秀男優賞(柳楽優弥)を受賞。06年、『花よりもなほ』で、"仇討ち"をテーマにした初の時代劇に挑戦。08年には、自身の実体験を反映させたホームドラマ『歩いても 歩いても』を発表、ブルーリボン賞監督賞ほか国内外で高い評価を得る。同年12月には、初のドキュメンタリー映画『大丈夫であるように-Cocco終わらない旅』を 公開。09年、『空気人形』が、第62回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され、官能的なラブ・ファンタジーを描いた新境地として絶賛される。 10年、「妖しき文豪怪談シリーズ」(NHK BS-hi)で、室生犀星の短編小説を映像化した『後の日』を発表。11年、『奇跡』が、第59回サンセバスチャン国際映画祭最優秀脚本賞受賞。12年、初の連続ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(関西テレビ・フジテレビ系)で全話脚本・演出・編集を手掛ける。ドラマに登場する「こびと」をモチーフにした絵本『クーナ』(絵:大塚いちお、 出版社:イースト・プレス)が刊行。
13年、『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞ほか、国内外で多数受賞。15年、『海街diary』がカンヌ国際映画祭コンティション部門に正式出品され、日本アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、撮影照明賞の4冠に輝いた。16年、『海よりもまだ深く』が同映画祭「ある視点」部門に正式出品。17年、『三度目の殺人』が第74回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品、日本アカデミー賞最優秀作品賞ほか6冠。18年、『万引き家族』が第71回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネート、第44回セザール賞外国映画賞受賞、第42回日本アカデミー賞最優秀賞最多8部門受賞。19年、カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュを主演に迎え、全編フランスで撮影した日仏合作映画『真実(原題:La Vérité)』が第76回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門のオープニング作品として正式出品。22年、韓国映画『ベイビー・ブローカー』(英題:Broker)がカンヌ国際映画祭最優秀男優賞受賞(ソン・ガンホ)、エキュメニカル審査員賞をW受賞。23年、自身初となるNetflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」が1月12日より配信、次回作『怪物』が6月2日より全国公開予定。
第8回伊丹十三賞受賞。著書に『映画を撮りながら考えたこと』(ミシマ社)、『雲は答えなかった 高級官僚 その生と死』(PHP文庫)、『歩くような速さで』(ポプラ社)、『希林さんといっしょに。』(スイッチパブリッシング)、『こんな雨の日に 映画「真実」をめぐるいくつかのこと』(文藝春秋)、対談集に『世界といまを考える 1、2』(PHP文庫)などがある。