4月26日・シネマライズ
4月26日 最終回上映終了後、シネマライズにおいて第3回目となるティーチ・インが催されました。 おいでになれなかった方のために、このサイト上に採録します。
(一部録音不明瞭だったため、大意を編集している部分があります。予めご了承下さい。)
是枝 : みなさんこんばんは。たくさんお集りいただきましてありがとうございます。本当に嬉しいです。ワンダフルライフの監督をしました、是枝です。
シネマライズでのティーチインは今日が3回目になります。何度か海外の映画祭では、こういう形で、上映した後に、観ていただいたみなさんと向き合って、今観てもらった映画について、いろいろ質疑応答や感想を聞かせていただいたりする時間をもつようにしてるんですけれども。
今日は出演をしていただきましたARATAくんと小田エリカさんと、二人に来てもらってますので、さっそくおよびしたいと思います。お二人どうぞ。…じゃあ、二人に一言ずつご挨拶をしてもらってから、さっそくティーチインに入りたいと思います。
ARATA : こんばんは。こんなに観に来てくれてとても嬉しいです。どうもありがとうございます。また後でゆっくりお話しをしましょう。
エリカ : こんにちは。昨日エリカも向こうの席で観てましたけど…関係ないね。楽しかったですか?…はい。良かったです。どうもありがとうございます。
是枝 : ではさっそく、Q&Aということで。質問でなくても感想でも構いませんが、手を挙げていただいて、スタートしたいと思います。
エリカ :後ろの人はいないんですか?質問。…はい!
男性 : 僕ですか?
エリカ :はい。
男性 : やった。(客席笑)
あの、この映画には、俳優とか女優さんで仕事をしてらっしゃる方と、それと素人の方も出てるんですけど、それはどうしてどちらかだけにされなかったんですか?
是枝 : 映画の準備を始めて、クランクインまで半年くらいあったんですけど、その間に、最初は僕が書く脚本の準備のためにだったんですが、街中にスタッフに出てもらって、老人ホームとかとげぬき地蔵とかを取材して廻ったんですね。
で、映画と同じシチュエーションの質問をさせてもらって、「本当に失礼な質問で申し訳ないんだけど、今お亡くなりになったとして、一つだけ思い出を天国にもっていけるとしたら」という質問をさせてもらいまして、それをVTRで撮らせてもらって、毎週会議を開いたんですけど。
そこでまず、聞かせてもらった一般の人たちの話があまりに面白かったんで、これは脚本にして役者さんに演じてもらうというよりは、一般の人に出てもらったほうが映画自体が豊かになるかなと思いまして。
で、実際の人たちにもう一度お願いをしてね。「こういう映画なんだけれども出ていただけないでしょうか」ということで。面白がってくれた人に登場してもらうようにしたんですけれども。
それとあわせて、あのー…なんていえばいいんだろうな、自分としてはドラマの部分とドキュメンタリーの部分とが持っている本来違う質のリアリティみたいなものをね、一本の映画の中でぶつけてみたらどんなことが起きるだろうという、ちょっと実験的なことをしてみたいと思って、それで役者さんにも登場してもらうようにしたんですけど。
男性 : わたしは見てて、両方の人たちが混ざってるんだっていうのを知って観てたので、どれもすごく面白かったんですね。で、どちらの人がどちらなんだろうっていうのは、ちょっとわからない人とかもいて、観ながらこの人のほんとの体験なのか、役者さんが演じてることなのかっていうのも考えながら観ていて、すべてがすべての人のほんとの体験だったら面白いなと思って観てたんですけど。
あと是枝さんが、作る側の映画と、観る側の映画っていうのがあって、それが一つの作品になるんだっていうことを考えてらっしゃる…ちょっと違うかな…友人に聞いたのでちょっと確かじゃないんですけど。
作られた側としては、その二つを混ぜてみるってことはうまくいったと思われますか?
是枝 : …うん。(客席笑)わりとよくできたかなと思ってるんですけど。
男性 : ありがとうございました。
是枝 : ハイ。…じゃあ他にどなたか。
ARATA : じゃあ…一番うしろの。
男性 : よっしゃ。(客席笑)映画で、幸せな時期を選んでたんですけど、実際ふたりは今まで生きてきた中で、幸せだったんでしょうか?違いますか?
ARATA : うん。…とっても難しい、ですよね。幸せな…幸せな、記憶…。
いっぱいあると思うんですよ。で、ちょっと僕は…ずるい、かもしれないんですけど…そうですね…うん、あります。でも一つ挙げて、となるとですね、何を選んでいいかわからなくなりますね。
…今質問どんなんでしたっけ?(客席爆笑)幸せな?
男性 : 死んでしまったら一週間しかいられない…
ARATA : ああ、なるほど。
その答は、僕はなんかこう、だいたい決めてることがあるんですけど。一つに僕は決めることできないと思うので、だから「もしほんとにこの「ワンダフルライフ」が…この場所があったら、僕は職員になってるかな」っていうふうに、決まってるようにいつも答えてるんですけど。そんな感じです。
エリカ : とりあえず一年間はいろいろ思い返す、というか、選ぶために働くと思うんですけど、でも今…は、お母さんと一緒のときを選びます。選ぶ思い出を訊いてるんだよね?…ハイ。
…だんだん(雰囲気が)暗くなってきた感じ…(客席笑) |