とても素晴らしい本で、もう言葉にならないです。というか、言葉にするのがもったいない感じです。一冊の本の中から、様々な音と光がこぼれ出て来て、ページをめくるたびに僕は両手で、こぼれないようにドキドキしながらその"何か"をすくっていた。
「あぁ…世界はこんなに豊かだったんだ…」と、初めて気づかされるような驚きに満ちた時間でした。

今回の僕の映画『誰も知らない』は、この川内倫子さんにスチールを撮ってもらっています。もうすぐこのホームページでもご紹介できると思いますが、映画とは又違ったこども達が描かれていて、新しい発見があります。こちらの方も楽しみにしていて下さい。

夏の公開へ向けていろいろ準備を進めていますが、先日予告篇が完成しました。ゴールデンウィーク頃には都内のいくつかの劇場で観てもらえると思います。この中で、谷川俊太郎さんが映画を観て作ってくれた詩を、小泉今日子さんに朗読していただきました。おふたりとも僕にとっては思い入れのある大切な存在です。このような形で映画を中心に共作できたことを、大変うれしく思います。あー早く観せたい。

是枝裕和