是枝裕和最新作 『誰も知らない』 がカンヌ映画祭に出品され、22日、主演の柳楽優弥くんが最優秀男優賞を受賞しました。日本人としては初、また14歳で史上最年少の受賞です。現地にて優弥くんに代わって賞を受け取った是枝から、以下のコメントが届きました。
1本の映画を根底で支えているのは、作り手の強い感情だと思います。マイケル・ムーア監督の 『華氏911』 が"怒り"に支えられているように、この映画の企画を長い時間支えてきたのも"怒り"でした。企画から15年という時間が経ち、主役に柳楽優弥くんという存在を得たことで、その怒りは僕の中で次第に愛情に変化していきました。僕のその感情は、多くのスタッフ・キャストにも共有され、映画はようやく完成しました。今回、その感情を審査員の皆さんや観客の方々にも共有して頂けたのだと嬉しく思っています。感情が怒りであれ愛であれ、それが映画を通して共有されていくことで、少しでも人が人とお互いの理解を深められるようになる―――そんな可能性を信じて、僕はまた強い感情をもって映画を作りたいと思います。
是枝裕和